02. 大地、変態を丁寧に責め上げる


 笹谷から露出の告知が来たのは、初めて会った日からちょうど一週間後のことだった。またこの間の公園でやるからと、丁寧に時間の案内まで書かれたメッセージを読んで、俺は人知れず興奮した。だってあの筋肉質なエロい体をもう一度拝めるんだ。おまけに下半身までしっかりと見られるわけだし、それに興奮しないわけがない。
 仕事を終えて家に帰っても、告知された時間にはまだ間があったから俺は先に家事を済ませることにした。風呂掃除に洗濯物の収納に晩飯作り。それらが終わってもまだ時間が余っていたから、風呂に入って汗を流した。
 案内のあった時間の十分前。外に出るとすっかり夜の世界に移り変わっている。歩いて五分で公園に着くと、入り口でちょうど笹谷に出会った。

「よう。来てくれたんだな」

 そう言って笑った笹谷はグレーのツナギを着ていた。工場勤務って言ってたから、そこの作業着かなんかだろうか? 男らしい顔によく似合っている。

「仕事帰りなのか?」
「いや、一回家に帰って来た。準備もあったしな」
「準備?」
「あとでわかる。さ、行こうぜ」

 楽しそうな様子で公園に入っていく笹谷に続いて俺も敷地内に足を踏み入れた。
 昼間もそうだけど夜はいっそう人気がない。外灯も少なくて死角が多く、よく考えたらひっそりと露出を楽しみたいやつにはちょうどいいスポットなのかもしれなかった。
 この間のトイレが見えてきたが、笹谷はそこを素通りする。遊歩道をはずれて茂みに入り、周りからは見えにくい場所まで来て笹谷は「ここでいいか」と呟いた。

「人に見られるか見られないかの絶妙な場所だな。スリルがあって最高だ。この間のトイレはマジで誰も来なくて退屈だったからな。大地が来るまで確か一時間ちょい待ったんだぞ」
「そんなにあそこにいたのか!?」

 少し暑さが和らぎ始めたとは言え、野外のトイレの個室にこもっているのはさぞ暑かっただろう。

「もう人に見せるのは諦めて帰ろうかって思い始めた頃にお前が来たんだよな〜。待った甲斐があったぜ」
「確か人に見せたのは初めてって言ってたよな? 恐くなかったのか? 下手すりゃ通報されるだろ」
「万が一のときのために逃げる準備はばっちりしておいたし、逃げるときの経路も確認しといた。そういうところは抜かりなしだ」
「そこまでのリスクを冒して露出する意味ってあるのか……」
「何言ってんだよ、あるに決まってんだろうが! 最高の快感を味わうには多少のリスクも承知の上だし、それはそれで興奮するんだよ!」

 ああ、変態ってこうだよな……。

「今日も逃げる準備はばっちりなのか?」
「いや、今日は大地がいるから罰ゲームを装える。万が一のときも大丈夫だな」
「俺が今日呼ばれたのはそのためかよ……」
「それだけじゃないぜ? 俺が露出してんの撮影してほしかったんだよ。あとで俺のスマホ貸すからよろしく頼むぜ」

 つまり撮影要員かよ……。ま、笹谷の裸見れるならそれでもいいけどな。

「そろそろ始めるか。スマホスマホっと……」
「撮影は俺のスマホでやるからいいよ。あとで自分で観たいならデータ送るし」
「お、それ助かるわ。じゃあとりあえずカメラ回してくれよ。脱ぐとこから撮ってほしいから」
「了解」

 俺はスエットのポケットからスマホを取り出し、さっそくカメラを起動した。暗くて少し映りが悪かったからライトも点けた。すると画面に笹谷の姿がしっかりと浮かび上がる。
 笹谷のスマホじゃなくて俺のスマホで撮影を申し出たのは、単純にこのスマホに裸を収めたかったからだ。自分のに入れておけばいつでも見れるしな。

「準備オッケーだよ」
「おう。じゃあ脱いでくから、しっかり撮ってくれよな」

 そう言って笹谷はツナギのファスナーに手をかけた。一番下までゆっくりと下ろし、両肩を同時にはだけさせる。
 俺は一瞬驚いた。なぜなら笹谷がツナギの下に何も着ていなかったからだ。鍛えられた上半身がスマホの明かりの元に露わになり、一気に大人の男の色気を醸し出す。更に下半身のほうも何も着てなかったらしく、勃起したチンポが勢いよく飛び出してきた。
 笹谷は自分のチンポを握り、ゆっくりと扱き始める。反対の手は乳首に触れ、途端に男前な顔が気持ちよさそうに歪んだ。

「ああっ……」

 甘ったるい声が笹谷の口から零れる。声まで色っぽいんだなと思いながら、目の前のエロい姿に俺はすっかり夢中だった。スエットの中のそれはあっという間に勃って今すぐ扱いてイきたくなるけど、たぶん俺がオナっちゃったら笹谷が萎えちゃうだろうから我慢だ。
 エロ動画を観るときってオナニーシーンは飛ばしがちなんだけど、笹谷のは観てて飽きないっていうか、感じてる顔と体のエロさが相まってすごく興奮する。ゲイ向けAVに出たらたちまち人気男優になれるだろうなと割と本気で思った。
 笹谷の煽るような視線が俺のほうに向けられる。正確には撮影しているスマホのほうなんだろうけど、画面越しでもゾクッとくるものがあった。
 ああ、またこの間みたいに触りたいな。そのバキバキに勃起したモノを扱いて――いや、今度はしゃぶってイかせたい。男のフェラもなかなかいいもんだって教えてやりたいな。けど今は撮影しなきゃいけないし、笹谷がそれを望んでいるかどうかもわからない。

「あっ……」

 笹谷が何度も気持ちよさそうに喘ぐ。そのたびに俺の股間が疼いた。
 ええい、もうただの撮影係なんかやってられるか。笹谷が望んでるかどうかなんて関係ない。こうしてここまで出向いてやったわけだし、何かご褒美があったっていいはずだ。
 我慢はあっという間に限界を迎え、俺は大股に笹谷の元へ歩み寄った。驚いたような顔をした笹谷に、手に持っていた俺のスマホを押しつける。

「自分で撮ってて。気持ちいいことしてやるから」

 笹谷はおずおずといった感じでスマホを受け取り、俺はそれを確認してからピンと張り詰めた笹谷の乳首に吸いついた。

「あっ……!」

 遊歩道を誰かが通れば聞こえるんじゃないかって声で笹谷は喘いだけど、本人は見られたって気にしないどころかむしろ嬉しいかもしれないし、俺もどうにでもなれと気にしないことにした。
 乳首が敏感な笹谷は刺激を与えるたびに体を震わせる。手を伸ばしたチンポは我慢汁でぐっしょり濡れていて、それをローション代わりに亀頭を擦ってやった。

「ああっ……すげえ気持ちいい……」

 そうか? じゃあもっと気持ちいいことしてやるから、覚悟しといてくれよ。
 扱く手を一度止め、乳首から口を離すと笹谷は「なんでやめちゃうんだよ?」みたいな名残惜しそうな顔で俺を見た。
 俺は地面に膝を突き、手に握った笹谷のチンポをまじまじと観察する。暗くて少し見えにくいけど、上反りのなかなか立派なチンポだ。形も綺麗だしホント文句に付けようのない体してるよな。俺は何も告げずにそのご立派なチンポの裏筋に舌を這わせた。

「おい、大地っ……」

 動揺したように笹谷が俺を呼んだけど、無視して丁寧に舐めていく。エラの張った亀頭に我慢汁を垂れ流す鈴口、全体が唾液でぐっしょり濡れたところで先っぽを口に含んだ。

「くっ……」

 笹谷は一瞬息を詰めて、すぐにまた気持ちよさそうに吐き出した。俺の持ってる技術をフルに活用しながら執拗に責め上げる。根元からゆっくり舐めて、もう一回全体を口に入れては出し、擦る。同じ男だからこれがすごく気持ちいいって知ってるし、実際笹谷もかなりよさそうに喘いでいた。
 そうしているうちに笹谷が自分から腰を動かし始める。最初は少し遠慮がちに、段々とその動きが大胆になってきて、デカいそれが俺の喉奥まで入って来ようとしてくる。

「ああっ、やべっ……イきそう」

 掠れた声でそう告げると、俺の口の中を犯していたモノが一気に引き抜かれた。同時に生温かい液体が俺の顔に降り注ぎ、馴染みのある青臭いような臭いが鼻を突く。

「わりい、顔射しちまった」

 謝りながら笹谷は脱ぎ捨てた自分のツナギのポケットを漁っていた。中から引っ張り出したのはポケットティッシュだ。それを二、三枚ほど手に取って、俺の顔に付いた自分の残滓を拭き取ってくれる。

「大地ってフェラもすげえ上手いんだな。さすがプロだ」
「プロって言うなよ。そこまで遊んでるわけじゃないぞ」
「そうなのか? 俺はてっきり遊びまくりのやりまくりなのかと思ってたぜ」
「まあ男女に比べたら体の関係に走りがちかもしれないけど、俺はたまにって感じだな」
「今更だけど、彼氏とかいないのか? 大地ってなかなか男前だし、モテるだろ?」
「今はいないよ。あとモテません」

 彼氏が欲しいとは思うけど、なかなかこの人だと思える相手には出逢えてないのが現状だ。決して高望みしてるわけじゃないし、好みの範囲が狭いってわけでもないんだけどな……。

「お、大地もしかして勃ってる?」

 ツナギを着直した笹谷が俺のスエットの膨らみを目ざとく見つける。そういえば勃ったまま放置しちゃってたな……。

「何、俺の裸で興奮した?」
「……そりゃ、笹谷はカッコいいし体もいい感じだから、そんなやつを舐めてイかせといて勃たないわけないだろ」
「嬉しいこと言ってくれるじゃねえの。なんなら大地もここでオナって帰るか? 俺人のを観るのも好きだから、じっくり観ててやるぜ?」
「男のでもいいのか?」
「おう。野郎とやりてえとは思わねえけど、露出オナニー観るのはなんか好きだな」

 一歩間違えればこっちの世界の住人のような趣味だけど、これでもやっぱりただの変態なんだよな〜。

「俺は遠慮しとくよ。露出趣味なんてないし」
「そりゃ残念。じゃあそれが収まったらまた飯でも行くか?」
「あ、今日俺作ったから食べに来る? アパートすぐ近くだし」
「マジで? んじゃ伺わせていただこうかな」

 こうして俺は変態を自分の住処に招き入れることになったのだった。







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