01. 強硬手段「――お前、何考えてんだよ!」
「お前をめちゃくちゃにしてやること」
一護の身体を組み敷いたまま、俺――一心は平然とそんなことを言ってやった。
「ざけんなっ! お前は俺の親父で、しかも男だろうが!」
「それがどうした?」
信じられない光景でも見ているかのように目を瞠った一護ににんまりと微笑むと、俺は顔を近づける。
「俺はお前とヤりてえんだ」
「俺はヤりたくないっ!」
「諦めろ。お前に拒否権はねえ」
「クソ親父――んっ!?」
まだ何か言おうとしていた口を自分の口で塞いだ。
にしても、よくもこんな強硬な手段に出たものだな、と自分で思う。一護が俺とするのを嫌がることくらい目に見えていたのに。ヤってみれば一護に気持ちも変わるかもしれない、と心のどこかで思っていたのかもしれない。
「はあ……」
長く濃厚な口づけから解放された一護は大きく息を漏らした。
「どうかしてる」
そうかもな、と笑うと一護は俺のほうをキッと睨んでくる。そんな反抗的な態度でさえ可愛く思えて、俺は額に口づけを落とした。
「好きだぜ一護。めちゃくちゃ可愛い」
「俺は親父なんか……」
「へ、そうかい。だけどお前のここは……」
右手を下腹部に伸ばし、そそり勃ったそれに触れると一護は焦ったように息を詰まらせる。手で押しのけようとするが俺のほうが力は強い。
「どこ、触ってんだよ」
「どこって、ここだよ。分かんねえのか?」
「――あっ……」
ズボンの上から上下に擦ると一護は切なげに目を細め、吐息と一緒に甘い声を漏らした。
「なんだ、感じてんじゃねえか」
「違っ」
「じゃあさっきの声はなんだったっつーんだよ? 気持ちよくなきゃあんな声でないぜ。それともまだ足りないってか?」
邪魔なズボンを取り去り、今度はボクサーパンツの上から擦る。
それにしてもこいつ、ボクサーパンツ好きだよな。ついこないだまでトランクスとボクサー交互に履いていたのがいつの間にかボクサーだけになっていた。ちなみにこんなことを知っているのは毎日家族の服を洗っているからであって、決して一護が眠っている間に部屋に忍び込んでこっそり確認しているわけじゃねえ。したかったけど夜は仕事でダウンしてそんな体力が残ってねえんだ。
「ふっ……ん」
一護は必死に声を堪えている。そんな姿見せられると逆に声出させたくなるじゃねえか。
俺はパンツの上から、すっかり固くなった一護のモノに舌を這わせた。
「ぁっ……な、何してんだよ!?」
「何って……フェラだよ? んなことも分かんねえのか?」
「そうじゃない! んなとこ舐めたら汚ねえだろうが!」
嫌々と身体を捩ろうとするけれど、俺の力の前では何の意味もない。
「や、めろ……」
「んなの無理に決まってんだろ。俺のここだってよう……」
そう言って俺は元気におっ勃ってズボンにテントを張っているそれを見せつける。
「ば、莫迦!」
「人の見て赤くなってんじゃねえよ」
悔しそうに睨んでくる一護に微笑んで、今度は下着に手をかけた。
「ちょ、待てって!」
「待ては聞かねえ」
そそり勃った一護のそれは、綺麗なピンク色の亀頭を天井に向け、先端の窪みから先走りの蜜を溢れさせていた。しっかり育った下生えは明るいオレンジの髪とは対照的に落ち着いたベージュ色をしている。
十五歳にしては立派なもんだ。しっかり剥けてやがるし、サオも太い。皮は俺が剥いてやろうと思っていたのに。だがしかし、俺のスーパーマグナム801には敵わねぇ。
「人のじろじろ見てんじゃねえよ」
反抗的だった目つきが最初と比べると少しだけ柔らかいものになった気がする。そのうち俺を受け入れてくれるのではないか、という希望を持たせたのは一護本人の責任だと勝手に決めつけて、厚手の寝巻きを脱がせた。
これで一護は正真正銘の真っ裸、生まれたままの姿というわけだ。
傷一つない裸体は思っていた以上に逞しかった。腕には程よく筋肉がつき、腹筋ははっきり六等分、胸板もなかなか厚い。
「男になったな」
成長した息子に感心して言うと、顔を背けられた。照れ隠しなのがバレバレで、そのあまりに可愛い仕草に俺は思わず額に口づける。
「……親父」
やがて小さな声で呼ばれ、不安げな顔にあんと問うと、意外な言葉が返ってくる。
「寒い」
「おう、悪りぃ」
まだ春は遠いからな。真っ裸でいりゃ寒い。
俺は布団と一緒に一護の身体に覆い被さった。
「重くねえか?」
「重いに決まってんだろ、クソ親父」
へっと笑ってやると、一護は笑うなとムッとする。一つ一つの反応がホント可愛いやつだ。
「なあ親父、マジでヤる気かよ」
「これがマジに見えねえか?」
「分かるけど、なんでこんなことすんだよ……?」
「好きだからに決まってんだろうが。さっきも言ったろ?」
もう訳分かんねえ、と一護は嘆いた。
「俺はお前の息子だ」
「そうだな。けどんなことはどうだっていい。もう十年近くも我慢してきたんだ。そろそろタカが外れたっていいだろ?」
一護が幼い頃、真咲が死んで泣きじゃくってたのを抱きしめたり、添い寝しているところにキスしたり、それだけでずっと耐えてきたけどやっぱ限界ってものはある。
「けど、お前がどうしても嫌って言うならやめる」
本気で拒絶しているのを無理やり犯して親子の縁を切られたりでもすればそれこそ俺の人生は終わりだ。
「……もう、好きにしろよ」
拒否するだろうと、なんとなく予想していたというのに帰ってきたのは正反対の答え。俺は一瞬驚いて、一護の瞳を覗き込む。
「いいのか?」
「駄目っつってもやめてくれねえだろ。だったらもういい」
言葉とは裏腹に、その瞳に諦めの色は浮かんでいなかった。むしろこのあとの行為を望んでいるような気さえする。――俺の錯覚かもしれないが。
「どうなっても知らねえからな」
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