03. 俺の気持ちと一護の気持ち一護の熱すべてが集中しているかのように、そこはとても熱かった。先走りの蜜が竿を伝う様子はなんともいやらしい。
俺はそれを上下に激しく扱く。限界が近いときはフェラよりもこっちのほうが楽だからな。
「ぁっ……親父っ」
小さい頃は「お父さん」と同じように甘い声で俺を呼んでいた。あのときはまさかこいつとこんなことをするとは微塵も思っていなかった。それがいつの日からか犯したいという欲望を抱き始め、今に至る。
最低な父親だな。自覚はあるがそれでも一護が本気で拒否するまでやめるつもりはない。
「気持ちい……よっ、ぁあっ……」
溢れる蜜に白いものが混じり始めた。どうやらそろそろ絶頂を迎えるらしい。
「ぁっ、イく! もうっ――ぁっ!」
一際甲高い声が上がると同時に、白い液体が勢いよく飛び出した。
はあはあ、と快楽を通り越した一護は肩で息をする。
「気持ちよかったか?」
「……ああ」
胸まで飛び散った液をティッシュで拭き取ってやり、疲労した一護の身体を抱き寄せる。大人しく俺の背中に手を回してきたのは心を許したからなのか、それとも他意なにか……どっちにしても俺は満足だった。
「このまま寝るか?」
「うん」
こうやって抱き合って寝るのは久々で、それが当たり前だった頃に比べるとやっぱり身体がデカくて抱きしめにくい。
目を閉じて俺の胸に顔を埋めた一護はじきに静かな寝息を立て始める。
俺もなんだか眠かった。まあ時間が時間だし、仕事の疲れもあるからな。温かい一護の身体を包むように抱きしめたまま、俺もすぐに眠りの世界に落ちた。
それから何時間が経っただろう。深い眠りと浅い眠りを交互に繰り返しているうちに、俺はふと目覚める。
抱きついて寝ていたはずの一護もぱっちりと目を開けていて、もう朝が来たのかと焦ったが窓の外は夜のとばりが下りたままだった。
「どした?」
無口のままこっちをじっと見つめている一護に訊くと、急に顔を赤らめて目を逸らした。
「あのさ……」
「ん?」
「……俺のこと本気で好きなのかよ?」
なんだ、そんなことか。一護も真剣に俺の気持ちを受け止める覚悟を決めたらしい。どんな返事をするつもりかは知らねえが、とりあえず質問に答える。
「冗談であんなことすると思うか?」
好きだから、息子だと分かっていて行為に及んだ。
「本気なら俺……されてもいい」
「へ?」
「男同士でヤるとき、ここに挿入んだろ?」
ここ、と言いながら一護は自分の袋の下の小さな穴を指す。
「親父が本気なら俺……」
「一護……」
投げやりになったようには見えない。むしろそれを本気で望んでいるようにさえ思える。
「駄目だ」
本心とは裏腹に、俺は一護の望みを却下する。
「お前に痛い思いはさせたくない」
「痛いかどうかなんてやってみねえと分かんねえだろ?」
「ローションだってないんだ。痛いに決まってる」
それでも、と一護は俺に抱きつく。
「親父としたい。さっきみたいにお願いしたっていい」
「……ったく、お前は」
そんなこと言われたら折れずにはいられねえだろ。
「最初の反抗的な態度はなんだったのやら」
「あ、あれは親父が無理やりヤろうとするからっ」
確かにあれは急に押し倒した俺も悪かった。欲を抑え切れなかったのも情けなかったと反省してる。
「けどよ、ローションもなしにヤんのはキツいぜ?」
「挿入られたことあんのかよ」
「ねえよ。つーか男相手なんてお前が初めてだ」
すると一護は少しだけ嬉しそうな顔をする。
「そりゃ意外だ。てっきりいろんな男とヤってるのかと思ってた」
「ばーか、俺が惚れたのは真咲とお前だけだ」
だから傷つけることだけは避けたいと思っていたのに、結局挿入ることになってしまうらしい。まあ、それが一番互いの想いを分かち合ういい手段ってこともある。
何より一護本人がそれを望んでいるんだから、俺のこの想いも許されるだろう。
「泣くんじゃねえぞ」
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