02. お父さんの場合-終 「でけえ……」 風呂に入ったときに見た平常時のそこも結構なデカさだと思ったが、勃起すると更に容積を増して、凶悪なイチモツが露になった。もしこれをケツに突っ込まれでもしたら、大惨事になっちまうんじゃねえだろうか? 親父は俺の顔の前にそれを突き出す。 「これ、できるか? 無理ならしなくていいぞ」 「できる」 いままでにしゃぶったチンコの数はたった一本だが、その一本を何度も何度も口でイかせて、それなりのテクニックを手に入れたつもりだ。だから親父のそのでけえチンコも絶対に気持ちよくしてやるぜ。 舌でチロチロと舐めると、先走りのしょっぱい味がした。そのまま図太い亀頭をなんとか口の中に押し込み、音を立てながら激しくしゃぶる。 「うっ……」 見上げた先にあった顔は気持ちよさそうに目を閉じている。吐息と一緒に時々漏れる呻き声にボルテージはどんどん上がってきて、腰の辺りがなんだかムズムズしてきた。 「母さんのフェラとどっちが気持ちいい?」 「そんなの、お前に決まっているだろう。こんなに気持ちいいフェラは初めてだ」 少しでも親父に気持ちよくなってほしくて、必死に尽くすみてえにしながら、それのたくましさを口に感じる。やがて耐え切れなくなったのか、親父はゆっくりと腰を動かし始めた。 「いったいどこの誰のを咥えて覚えたんだ? 俺の息子を汚しやがって、最低だな」 「いや、親父もはたから見りゃ十分最低だよ。自分の息子を犯してんだぜ?」 そうだな、と親父は自嘲気味に口元を歪めた。 「確かに俺は最低なのかもしれない。だが、夜の相手もすると言って誘ってきたのはお前のほうだ」 「俺のせいかよ」 「ああ、そうさ。まあ、最終的にはそんなお前にコロッといっちまった俺が悪いんだけどな」 男らしくごつい手が俺の頭を撫でる。最初はそっと優しい感じだったんだが、それは急に俺の頭を逃げられないように押さえつけてきた。 「お前の口の中に出していいか?」 余裕のねえ声がそう訊ねてくる。チンコは口から離さねえまま、ただ首を縦に振った。その瞬間、緩慢だった腰の動きが急に激しくなって、俺の口内を乱暴に犯し始めた。 「ん―――!!」 苦しくて涙が流れ出したのも気に留めず、親父は本能のままに腰を振り続ける。 「あーっ……お前の口、最高だ。そろそろイクぞっ。あっ――!!」 喉の奥にチンコが届いた瞬間、何かが口の中で弾ける感覚がした。同時に苦い味が口いっぱいに広がってきて、俺は思わずむせちまった。 「……すまん。乱暴にやりすぎた」 咄嗟に親父はティッシュを俺の口にあてがい、背中を優しく撫でてくれる。 「おえ、不味い……。やっぱ人が飲むようなもんじゃねえな」 「そうなのか? 俺は飲んだことがないからわからん」 「俺だって自分の以外だったら親父が初めてだよ」 イガイガとした感触が口の中に残っていて気持ちわりい。まだ自分がイってねえのも気にならねえくらい、一刻も早くうがいをしたかった。だが、立ち上がりかけた俺を親父がまた自分の身体に引き寄せ、最初のキスとは打って変わって柔らかいキスをしてくる。 「本当に不味いな」 「だろ? 今度から口に出すのはなしだからな」 口に出すことを自分で承諾しておきながら文句を言うのもおこがましいが、この味は二度味わいとは思わない。フェラをするたびに俺の精液を飲んでる坂上って絶対味覚が狂ってるだろ? そんなことを心ん中で呟いているうちに、親父がタンスの中から一本のボトルを取り出していた。中の透明な液体はきっとローションに違いねえ。 「なんで親父がローションなんて持ってんだよ? 母さんとやるときに使ってたのか?」 「いや、一人でするときにちょっと、な。これでチンコ扱いたらすげえ気持ちいいんだ。でもいまから使うのはチンコじゃない」 「じゃあ、どこだよ?」 「ここだ」 ローションをまとった親父の指が、チンコの更に奥、誰にも触れられたことのねえそこをそっとなぞった。 「ひっ……」 ぞくりときたのはローションが冷たいせいか、それとも別の原因か、自分でもわからねえまま、なんだか急に恥ずかしくなって親父から顔を背ける。 「ここは初めてか?」 「初めてだよ! っつか汚ねえから触るなって!」 あれだけエロいことを何度もした坂上とさえ、未だにそこを使ったセックスは一度もしてねえ。アナルセックスの存在自体は互いに知っているが、俺のほうはそこを使う決心がつかねえし、坂上もそこを使いたいとは言ってこねえからな。 「そこに親父のチンコ突っ込む気かよ?」 正直に言うと、そこに何かを入れることがひどく怖かった。エロ動画の中じゃ男優たちはケツを犯されて気持ちよさそうに喘いでいるけど、あんな小さな穴にモノを突っ込まれて痛くないはずがねえ。ましてや親父のでけえチンコなんか入れられたら、確実にそこは壊れちまうだろう。 おそるおそる親父の顔を見上げると、歳の割に男前な顔は柔らかい笑みを浮かべた。 「チンコなんて入れたりしねえよ」 その一言に俺はホッと胸を撫で下ろした。 「バージンは本気で好きなやつに捧げてやれ。少なくともいまここで俺に捧げていいものじゃない。でもまあ、指くらいは入れさせてもらうが」 「!?」 待て、という言葉を口に出そうとした瞬間、俺の意志を思いっきり無視して親父の指が身体ん中に侵入してきた。 「な、なんで入れんだよ!」 痛くはなかったが、気持ちよくもねえ。ただひどい異物感がそこから全身に伝わってきて、チキン肌になっているのが自分でもよくわかる。 「大丈夫か?」 「大丈夫じゃ、ねえ。気持ちわりい……」 「少しだけ我慢してみろ。たぶんどっかに気持ちいいとこがあるはずだから」 「そんなの、女しか抱いたことねえ親父にはわかんねえだろっ」 「こういうとき、男の勘は鋭くなるもんだ」 ごつごつとした指が内襞を擦る。何かを探るように細かく動くのがすげえ不快で、喘ぎじゃなくて呻きが口から零れた。しかし、指の腹が上のほうを押さえた瞬間、いままで感じていた不快感が別の感覚に変わった。ぴくりと身体が反応し、放置されて少し萎んでいた俺のチンコが急に元気を取り戻す。 「ここ、気持ちいいのか?」 「気持ちよくなんか、ねえよ」 「チンコをビンビンにしておいて、よくもそんな嘘が言えるな。素直になればもっと気持ちいいことしてやるのに」 親父はわざと音を立てるように指を動かした。その一点を突かれるたびになんだか射精しちまいそうな快感に襲われながら、次第にその動きがもどかしく思えてきちまう。 「もう、嫌だ……。訳わかんねえよ……」 「嫌じゃなくて、いいんだろう? チンコのほうがよっぽど正直だ。こんなに我慢汁垂らして……いまにも出してしまいそうだな」 親父の言うとおり、触られてもねえのにチンコはケツに与えられる刺激に敏感に反応し、ぬらぬらと先走りを漏らしている。それが死ぬほど恥ずかしいのに、こんなに感じてしまっている自分が信じられなかった。 イきてえ。すげえイきてえ。いますぐイきてえ。自分の本能に耐え切れずおずおずとチンコに手を伸ばせば、親父の空いているほうの手が触れることを阻んだ。 「お前が気持ちいいって言うまで触らせないし、触ってやらない」 「そんな意地悪すんなよぉ……エロ親父がっ」 ただ一言、ケツが気持ちいいですと言えばもっとすげえ快感が得られるってわかっているのに、それを認めることだけは男のプライドが赦さねえ。そんな俺の気持ちを打ち崩すように親父の指は激しさを増し、イけないもどかしさがどんどん積もっていく。 もう、何がなんだかわからなくなってきた。もっと気持ちよくなりたいと、親父の指を咥え込んだ腰が勝手に揺れる。自分でもそれを淫乱だと感じているのに、擦り切れた理性じゃそれを止めることは叶わなかった。 「あっ、あっ……親父っ」 最初は硬く強張っていたケツも、いまはすっかりとろけちまっている。そこをすごい勢いで掻き混ぜられて、堪えきれずにいやらしい声が漏れちまう。 「親父の指、気持ちいい……。ケツん中すげえ気持ちいいよぉ……」 頭の中まで犯されているような感覚にもうどうしようもなくなり、ついに俺は白旗を上げた。 「いい子だ。俺の手でイかせてやる」 先走りでぬるぬるになった俺のチンコを親父の手が包む。ケツへの刺激は続けたまま、その手をいきなり激しく動かして、俺を絶頂へと導いた。 「あっ! 親父っ、駄目だ! やばいっ」 後ろと前、両方を同時に攻められるのは、気持ちいいを通り越して気が遠くなっちまいそうだった。腰がとろけてなくなっちまうんじゃねえかって感覚に陥りながら、叫ぶように喘ぎを漏らした。 「ああっ、あっ! 親父、もう、イきそう」 「イけよ。俺がちゃんと見ててやるから」 低くて重々しい声が耳元でそう囁いた瞬間――チンコから勢いよく精液が迸った。同時にとてつもねえ快感に意識を奪われ、俺はゆっくりと目を閉じた。 あまりの暑さに俺は目を覚ました。 誰かの吐息が頬を掠めている。それは少しばかり酒臭くて、なんだかこっちまで酔っちまいそうだった。 枕元の時計は三時過ぎを指している。てっきり昼の三時かと思って飛び起きそうになったが、カーテンが開けっ放しになった窓の向こうが、まだ明るくなっていないことに気づいてホッと胸を撫で下ろす。 俺の口をチンコで、ケツを指で犯した野獣は、いまはすっかり寝静まっていた。だが、太い腕は俺をがっちりとホールドしていて、暑さの正体はこれだと理解した。 親父は泥酔していた。だからもしかしたら、目覚めたときにはさっきやったことを綺麗さっぱり忘れているかもしれねえ。それはそれで別に構わねえけどな。むしろ忘れてくれていたほうがいいのかもしれねえ。 だってもし覚えていたら、親父は絶対に俺に謝るはずだ。そりゃもうこっちが申し訳なくなるくらいに頭を下げて、最後にはまた俺と距離をとるかもしれねえ。 もしそうなったら、俺は言ってやる。それは俺が望んだことだって。俺がやりたくてしたんだって。もし本当に嫌だったら殴ってでもやめさせたし、大人しく親父の腕ん中で寝ているはずがねえだろう。そんでこれからもしていいんだって言って、抱きついてやる。 親父が好きだ。ずっと親父についていく。そんなことを心ん中で呟きつつも、それが家族愛の延長線であって、“恋”じゃねえってことを俺はこっそり自覚している。 バージンは本気で好きなやつに捧げろって言われたとき、誰の顔が浮かんだと思う? 冷え切っていた親父との関係を修復する手助けをしてくれた、あいつの顔だぜ? つーか、あんだけ一緒にいたのに今更その気持ちに気づくなんて、自分で呆れちまうぜ。 そう、どうやら俺が恋愛的な意味で好きなのは―― |